家事事件の調停について
家事事件の調停について
離婚やひとり親に関する相談を受けたり、セミナーで講義をしたりする際に、多くの質問を受けたり、真剣に話を聞いてくださるテーマの一つに、「家事事件の調停の流れ」があります。
裁判所で行われている家事調停には、色々な種類のものがあり、夫婦や親子に関する調停としては、以下のものがあります。
① 夫婦関係調整調停(離婚)
② 夫婦関係調整調停(円満)
③ 婚姻費用の分担請求調停
④ 財産分与請求調停
⑤ 年金分割の割合を定める調停
⑥ 慰謝料請求調停
⑦ 離婚後の紛争調整調停
⑧ 養育費請求調停
⑨ 面会交流調停
⑩ 子の監護者の指定調停
⑪ 子の引渡し調停
家事調停は、裁判所を使う手続であることから、最終的に裁判所が判断をしてくれるのだろうと思われがちですが、調停は、あくまでも双方が話し合いをする場であり、これが正しい答えであるとして裁判所が一定の結論を示す場ではありません。
調停のために裁判所に行くと、調停委員(男女1名ずつ)が間に入って、それぞれから言い分を聞き、話し合いによる解決を目指します。
調停の結果、話がまとまった場合には、調停成立となり、合意内容を書面に記載をした調停調書が作成されます。この調停調書は、判決と同様、給与債権の差押え等の強制執行を行う前提として必要となる公的機関が作成した文書(債務名義)です。
双方が言い分を譲らず、話し合いによる解決ができない場合には、次の二通りの手続きになります。
⑴ 調停が不成立となり、手続が終了する。
上記の①②⑥⑦が、これにあたります。
⑵ 審判手続に移行し、審判というかたちで裁判所の判断がなされる。
上記の③④⑤⑧⑨⑩⑪が、これにあたります。
①の離婚調停は、調停が成立しなければ終了してしまうことから、訴訟が提起できるほどの法律上の離婚原因がない場合には、離婚をしたくてもすることが難しくなります。
他方で、③の婚姻費用の分担請求調停や、⑧の養育費請求調停は、調停が成立しなくても、審判というかたちで裁判所が一定の判断を示してくれることになり、審判調書も調停調書と同様、債務名義となります。そのため、婚姻費用や養育費の請求を求める場合、当事者同士の話し合いができない場合には、早期に調停の申し立てをすることにより何らかの形に残る解決を図ることができます。