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民事全般 - 十条王子法律事務所|十条、王子、東京都北区、板橋区、埼玉県を中心とした法律事務所

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民事全般

民事全般について

 会社法や商事取引に関わる問題、訴訟対応、債権回収、近隣トラブル、高齢者問題、土地建物の売買や賃貸借、土地建物の明渡し等の不動産問題、金銭貸借や売買等の取引問題、交通事故等、一般民事全般を広く取り扱っています。

支払名義人の法的性質について

 当職が原告代理人として取り組んだ訴訟についてご紹介します。

   音信不通の子の携帯代の支払を親が拒否した事案において、親の支払拒否が認められました。

1 事案の概要   

 ある父親が息子(当時は未成年者)の携帯電話利用料金を支払うため、通信事業者(ソフトバンク株式会社)との間において支払名義人となることに同意をしました。その後、息子の携帯電話の利用料金は父親の口座から引落とされていましたが、息子が成人に達したことから、父親は、通信事業者のショップやカスタマーセンターにおいて、自分の口座からの引落しを止めて欲しいとお願いしました。   

 ところが、通信事業者からは、支払名義人の変更は、通信サービス契約の契約者本人(息子)が手続きをしなければできません(支払名義人だけで変更することはできません)という回答を受け、引落しを止めてもらうことができませんでした。   

 そのうち、成人になった息子と父親は疎遠な関係となり連絡をとることができなくなりました。そのような状況のもと、息子は一月10万円もの携帯電話の利用をするようになり、その利用料金が父親の口座から引落とされていることから、父親は、弁護士(当職)を代理人として、通信業者に対して自分の口座からの引落しを止めることを求める内容の書面を内容証明郵便にて送付しました。   

 ところが、かかる通知を受けても、通信事業者は、通信サービス契約の契約者である息子自身が口座の変更手続をしない限り、引落口座を変更することはできない旨の回答を繰り返すだけであり、複数回引落しを止める内容の書面を送付しても、その回答は変わりませんでした。父親としては、自分の意思に反して、息子が利用している携帯電話の利用料金の引落しをされてしまう状況が続きました。   

 父親は、通信事業者のチャットサポートサービスを利用して、通信サービス契約の使用料の引落しについて相談しました。すると、通信事業者の担当者は、会社のルール上、息子の同意を得ないで父親の口座からの引落しを止めることはできないと回答するとともに、父親が引き落とせないようにした場合、父親自身が信用情報機関に登録される旨の回答をしました(なお、この回答について、通信事業者は後の訴訟において、当該回答は誤りであったと主張しています)。父親は、引き落とせないようにすることにより自分が信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されては困ると思い、為す術がない状況に追い込まれました。   

 通信事業者と父親との間には契約関係がありません(このことは通信事業者も認めています)。それにもかかわらず、本来他人(息子)が支払わなければならない利用料金について、引落しという方法でいつまでも自分が負担しなければならないことはおかしいと思い、父親は、当職を代理人として、通信事業者に対して、不当利得返還請求と不法行為に基づく返還請求に基づき、引落とされた携帯電話の利用料金相当額を支払うことを求める訴訟を提起しました。

2 裁判所の判断(令和2年7月3日付東京地方裁判所の判決)   

 裁判所は、父親が支払名義人となることに同意した支払同意とは、本件通信サービス契約に関して継続して発生する息子の債務について月ごとに請求を受け、請求にかかる債務についてその都度第三者の弁済をする旨を表明するものにすぎないとしたうえで、父親が通信業者に対して、以降請求されるべき息子の債務を支払わないと表明することは、父親が今後請求を受ける債務について第三者の弁済をしないということであるから、通信事業者は、その表明を受けた以降、父親の口座から本件通信サービス契約に係る債務を引き落とすことができなくなるものであると判示しました。   

 そして、父親が、通信事業者に対して、引落しを止めることを求めた行為を「支払同意の撤回」と捉えたうえで、当該支払同意の撤回を認め、その撤回を受けたとき以降に、通信事業者が引落とした金員について、父親の損失の下に通信事業者が法律上の原因なくして利得したものと認めました。   

 すなわち、裁判所は、父親が引落しを止めることを求めたとき以降、これに応じず通信事業者が引落とした金員につき、不当利得返還請求が認められるものと判断しました。そして、通信事業者が、父親の代理人弁護士からの内容証明郵便を受領したことにより、父親が口座からの引落しに明確に反対していることを認識したうで引落しを行ったことから、通信事業者を「悪意の受益者」と推認しました。   

 この訴訟において、通信事業者は、父親による本件支払同意の撤回を認めることは、本件通信サービス契約の内容を変更することであり、契約の当事者である息子の同意なしにできないとの理由をもって、父親が任意の時点で本件支払同意を一方的に撤回することはできないと主張していました。   

 この主張について、裁判所は、父親と通信事業者との間には本件通信サービス契約に係る契約がないこと、連帯保証人や債務引受をした者と異なり、父親は通信事業者に対する支払債務を負うものではないこと、支払同意の同意書には、支払同意の撤回を制約される旨の記載が見当たらないこと等から、父親が通信事業者に対して本件支払同意を継続する(任意で行われるべき第三者の弁済を継続する)義務を負うことはできないし、通信事業者が父親に対して本件支払同意の撤回自体を拒絶する権限があるということもできないと判示したうえで、通信事業者の上記主張は、父親による本件支払同意のいわゆる撤回の意義を適切に評価することなく、これと支払名義人の変更手続は契約者が行う必要があることとの関係について、誤った理解を基にされたものというべきであり、その前提において不相当であるから採用することができないと判示しました。

 さらに、裁判所は、支払同意の撤回後の通信事業者による引落しにつき、通信事業者は、父親が第三者の弁済をしないことについて認識していたか、仮に、認識していなかったとしても、そのことについて過失があると認められるため、通信事業者による不法行為の成立も認めました。

3 本判決の意義と支払名義人の制度について

 本件において、支払名義人である父親と通信事業者との間に、何らの契約関係がないことについては争いがありませんでした。   

 ところが、父親は支払名義人となることに同意をしたその同意を自分の意思だけでは撤回することができなかったことから、通信サービスの契約者である息子が支払うべき債務を、息子に代わって支払うことを事実上強制されていました。   

 民法には、保証や連帯保証という制度があり、仮に通信事業者と父親との間において保証契約や連帯保証契約という契約を締結していた場合には、主債務者である息子が利用料金を支払わない場合に、父親が息子に代わって支払をする義務を負うことになります。   

 本件においては、支払名義人が通信業者との間において、このような契約を締結していないにもかかわらず、実質的には連帯保証を強いられているに等しい状況にあった点に問題があったといえます。   

 本判決が、契約者本人の同意や手続がなくても、支払名義人が支払同意を撤回することができると判示したことは、消費者保護の観点から、その意義が大きいものと考えています。

 この裁判において、通信事業者は、支払名義人が、通信事業者と通信サービスの利用者である息子の契約内容(支払方法につき支払名義人の口座から引落とすという契約内容)を変えることはできないと主張していましたが、かかる主張は、通信事業者と通信サービスの利用者が締結した契約の効力が実質的に支払名義人に及ぶことを前提にしたものです。支払名義人は独立した人格主体であって、通信事業者と通信サービスの利用者との間の契約に拘束されることはなく、支払名義人の通信事業者に対する支払同意の撤回は、他人の契約を変更しようとする性質のものではありません。独立した人格主体の支払名義人が、契約関係のない通信事業者に対して、自分の口座から第三者の通信料の引落しを止めることを求めるものであり、通信事業者と契約関係になく、通信事業者と通信サービスの利用者の契約に拘束されることのない父親が、自分の口座からの金銭の引落しを止めることはいつでも当然に認められるべきといえます。

 一般消費者は、事業者に比べて契約関係等に関する情報量が少なく、制度がおかしいと思っても、事業者の言うことに従わざるを得ないことがあります。

 事業者としては、一般消費者の目線に立ち、本件のように事業者と契約関係にない支払名義人が、いつでも、支払名義人の意思のみで、支払同意を撤回できるよう(支払を止めることできるよう)制度を見直す必要があると考えます。

                              弁護士 金ヶ崎絵美

お金を貸すときの対応について

 知り合いからお金を貸して欲しいと頼まれた場合、後から争いにならないようにするためには、どのようなことに注意するのがよいでしょうか。
 お金を貸すときには、金銭消費貸借契約書等の契約書を作成することにより、金銭の貸付をすることや、貸付をする金額、利率、返還期日、遅延損害金等の取り決めを書面で残しておくことが必要です。その際には、契約書上に、借りた相手方の署名または記名押印をしてもらうことも大切です。
 このような契約書面の作成をしておかないと、後から、相手方に渡したお金について、借りたものではなくてもらったものだと言って争いになることがあります。また、返還期日が決まっていないことから、いつまでもお金を返してもらえないという状況が生じることもあります。
 さらに、この契約書面を強制執行認諾文言の入った公正証書として作成しておくことにより、期限までに返済がなされないときには、相手方の預金債権や給与債権等の差押えをすることが可能になります。
 返還期日がきたにもかかわらず、相手方から貸金の返還がなされないときに、貸金の返還を弁護士に依頼されることが多くあります。
 このようなご依頼を受けた場合、まずは、任意の支払いをするよう内容証明郵便等により相手方に金銭の支払を請求します。この際重要なことは、書面を送付するための相手方の住所や連絡先が分かっているかということです。相手方がどこにいるのか分からない場合に、貸金を返還させることは事実上難しいことがあることから、貸付をした後も、相手方と連絡を取り合うなどして、相手方の所在を確認しておくことが大切です。
 相手方から任意の支払がなされず、公正証書の作成もない場合は、訴訟等の裁判手続きを通して、支払を請求していきます。このとき、相手方が署名や記名押印をした前記の契約書があると、手続きを進めやすくなります。
 訴訟で勝訴しても任意の支払がない場合には、相手方の預金債権や給与債権等の財産に対する強制執行を検討することになります。
 相手方と話し合いができる場合は、一括の支払で難しいのであれば分割でもよいので支払うよう交渉をすることにより、一日でも早く貸したお金を返してもらえるよう、柔軟に調整することもあります。

                              弁護士 金ヶ崎絵美